早いもので開業して12年が経ちました。この間甲状腺疾患を始めとする内分泌疾患や、糖尿病などの代謝疾患、生活習慣病等の患者さんが増えました。特に専門とする甲状腺疾患は数多く、勉強になることもしばしばです。同じ病名でも、一人ひとりその病状は違います。今年はなぜか甲状腺癌が多く見つかっております。紹介していただいた先生に癌である旨をお伝えすると、たいそう驚かれます。慣れた専門家であれば、触診だけでも怪しいと感じますが、甲状腺の触診は経験がないと難しいです。乳頭腺癌がほとんで、触診やエコー所見でほぼ見当が付き、細胞診にて確定します。困るのが濾胞腺癌で、良性腫瘍との鑑別は、一部の例を除いて、術前診断は事実上不可能といえます。つまり手術をしないとわからない癌です。世界中で濾胞腺癌を診断する方法を研究していますが、未だに良いものがありません。手術はできれば受けたくないというのが大方の思いだと思いますので、鑑別法が見つかることを切望しております。
ご挨拶
開業後も内分泌甲状腺関連の学会や研究会にはできるだけ出席しております。その為、休診が増えて御迷惑をおかけしておりますが、最新の知識や考え方を吸収するためにも必要なことと考えております。長年非常勤で務めております伊藤病院も、今年から学会期間中は休診にするようです。お蔭様で、伊藤病院で代診を務めていただく先生に気兼ねすることなく、学会に出席できます。
さすがに若い時のように体も頭も動かなくなり、あと何年このご挨拶を更新できるかわかりませんが、甲状腺疾患や生活習慣病をもつ方々の生活の質の改善にお役に立てるよう精進いたしたいと存じます。
よろしくお願い申し上げます。
平成27年9月吉日
飯高医院 院長
飯高 誠
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